東京地方裁判所 昭和40年(手ワ)2196号 判決
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〔判決理由〕前認定の事実によつて認められるように、振出人名下の印影と貼付された収入印紙消印のため押捺された印影とは相違しておること一見して明瞭であり、しかも振出人裏書人武城は全く未知の人であるのに、必ずしも少額とはいえない本件手形の裏書人の住所として飯場という表示がなされておるにも拘らず、満期直前の約束手形をそれ程多額とは考えられない対価を支出し(高山好吉の前認定の言動から推察される。)て高山から本件手形を取得するについて高山からその入手の経路は勿論振出人裏書人武城についての質問もせず況んや調査もしなかつたことは少なくとも重大な過失があるといわざるを得ない。高山に対しその入手の経路や裏書人武城について質問しただけでも、高山が権利者であることに疑をいれるべき余地があることが直ちに察せられた筈である。
ところで、被告は原告が悪意であることを主張しているのみであるが、もとより右主張の中には重過失により取得の主張をなす趣旨を包含しているとみるのが相当であるところ、以上のとおり原告は重過失の取得者として善意取得による保護は受けることができないから正当な所持人ということはできない。(綿引末男)